巻之五 〈5〉 語呂合わせ

ある人から聞いた。
駿河湾産の甘鯛を生干しにしたものをおきつ鯛と名付けて一名産になっている。
今は興津の産、興津鯛という人もあるが、正しくない。

これは駿府城に烈祖(家康公)があられた時のこと。
奥女中のおきつが宿下がりから(お城へ)戻った時、生干し甘鯛を献じたのだ。
ことに御口に合い、戯れに「これからはおきつ鯛と呼ぼうではないか」と云われたので、有名になったのだ。
そこでは『おきつ鯛』と呼ぶ様になったという。
この様に、転訛することが多いものなのだ。

また楽翁が語られた話である。
世に『一富士ニ鷹三茄子』という言葉がある。
この由来は、神君(家康公)が駿府城に御坐の時、初茄子の価格が高く、数銭で買い取ることになった。
(茄子の)価格の高さの例えとして、『まず一に高いのは富士の山である。
その次は足高山である。その次は初茄子である』と云うことだった。
かの土地の俗では、足高山をタカと短く云っていたのを今では鷹となったのだ。

後にこの三つは目出度きものと例えられる様になり、画に描いて掛けて喜ばれる様になった。

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コメント

No title

これは面白いですね、この「一富士二鷹三茄子」の由来は初めて聞きました。

No title

足高山は静岡県の富士山 南麓にある 愛鷹山 の古名で、標高1504.2mが最高峰だという。
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