続篇 巻之34 〔6〕 磔になった2人の女の獄門首のはなし

 刑人の内にもまた大逆の罪人がいるものである。
近頃千住に獄門の捨て札があると聞いたので、人を遣わして見せ使(し)むると、
            上州利根郡小川小和知組
               百姓孫兵衛女房
                  る か 丑26才                   
一 この者(るか)の儀、上州川上村伊津喜とかねてより密通していた。
夫孫兵衛に、度々暴力をふるわれ難儀に逢わされ、悩んでいたというが、その内は(夫に)折檻(毒薬を呑ますという)をしていたのを隠していた。
蠅取薬は毒薬というのに買い受けて、ひそかに食べ物と混ぜ、2度食べさせたところ、吐き出し悶えた。
上の次第を(るかは)村内専蔵の女房しかに相談した。
しかも密夫がいて夫の専蔵から暴力などの難儀に遭っていた。
しかも夫専蔵が呑む度に旨い物があるよと云いながら毒薬を(夫に)呉れていた。
既に夫が果てたのは(毒薬を)を呑まされていたからだと噂が流れていた。
それでしかは申し合わせて剃髪をして駈け落ちをする始末。
不届き至極につき、引き廻しの上、獄門(さらし首)を行った。
    丑11月
      上州利根郡小川古和知組
         百姓専蔵女房
            し か 丑20才
一 この者(しか)の儀。村内三之丞悴(せがれ)円蔵とかねて密通していたが、夫専蔵がそれを知った。
しかは度々専蔵に暴力をふるわれ、難儀であると、村内孫兵衛の女房るかに相談したが、るかも密夫がいた。
孫兵衛は、るかの密通を知り、るかに暴力をふるった。
これを心外に思った、るかは夫孫兵衛からの暴力から逃れたいと思っていた。
蠅取薬は毒薬だったので、夫が酒を吞ませよと煩くいうならば、薬を手にして食物に混ぜて飲食させれば、煩いのもその内静かになるよと、るかより(薬を)もらい受けた。
食物に混ぜ、ひそかに専蔵に呑ませたところ、それほど効果はなかった。
それで別に買い受け、余分に呑ませたところ、度々嘔吐し苦痛を見せた。
余りにも苦しむので、村内の医師東益を夜中に連れ参る途中に、医師はしかを抱きとめ密通をもちかけた。
具合の悪い身体の夫に毒薬を飲ませ死なせたならば、そうなろうとしかは答えた。
しかは毒薬を調合してくれるかと聞いた。
二人はしばらく密会に及んだ。
それから東益から毒薬を貰い受けたが、(前の)蠅取薬を呑んでいたので、専蔵は吐血して果ててしまった。
このことは世間で噂となたので、るかと申し合わせ、剃髪の上駈け落ちする始末、重々不届き至極に付き、引き廻しの上磔に行うものである。
     丑11月
 この女、剃髪、駈け落ちとあるが、遠州あたりの尼寺に隠れていたのを捕えたと云うことである。
また磔の様子を見た者が言うには、かの女の頭髪が伸びて、いが栗のようで、獄門首の頭髪は60日余りも伸びていたと思われたという。
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