2021/12/27
三篇 巻之28 〔16〕 火事後の御救小屋のあれこれ
ある会談でのこと。この度の火事場の御救小屋は、予め2月と期限が決められていた。
つまり期限が満ちると官は引き払うと云う。
この度は多くの奇遇の者より願い出があって、期日には小屋を出て行ったという。
その故は食事は下さる、店賃とて出さず、小商いはする、貯えも溜り、人にもよるが大抵20金余りずつの元手が出来た。
それでこれにて商売にありつこう、または店を借りようと云い合って、このようになったと。
わしも5月の26日芝辺りに往き、御救小屋のあった辺りに行った。
はや1両日前に取り払ったと小屋場は掃き地となっていた。
またある人曰く。御救小屋はの官より支払われたこの御入用は1日700両ずつという。
ならば2ヶ月で42000両である。官の御入用にしては少ないようであるが、このように人命を救うは御仁恵の厚きことである。
これは別事であるが、この御救小屋が建って、人は競うように入り来るとき、本郷あたりの者で、家内を連れて来た。
これは焼き出されたのではなく、ただ食いに忍んで来たのである。
これは露見して追い払いになったと。
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