2021/12/29
巻之16 〔17〕 武家の道具とは?
細川三斎は茶事を好み、名物の茶器も沢山所持していた。堀田加賀守正盛が威厳があったころに、茶を好むゆえ、某を通して秘蔵の道具をみたいと申し入れた。
三斎は諾して日を期した。
正盛を迎え種々の馳走でもてなした。
その後、いざ道具をと数々の物を出した。
がそれはみな武具であった。
正盛はかねてよりの思いと違い、いと不興であったが、さあらぬ様子で厚く謝して帰宅した。
後日某が参り、いかに茶器を見せ給わなかったかと言った。
三斎は、いやとよ、加州が道具を見たいといわれ、その通りににしたまで、およそ武家にあって何の道具と斥(きさ)ずして、単に道具というのみでは、武具であって何のことであろうか(林氏覚書抄出)。
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