巻之9 〔25〕 誠拙和尚と天狗が喜び、怒ったこと

 寛政(1789~1801年)の末、誠拙和尚が南禅寺の夏結制に招かれて往くと、かの後山の上で衆人の舞歌う声がしきりに聞こえる。
一山の人がみな聞いている。

 これを見て曰く。
これは誠拙が来たのを天狗が悦んでこの如くであると。

また同時に、誠拙が厠に往くとき草履を厠の外に脱いで置いて、出て見るといつも正しく並べてあるのも、これも天狗の所為なりきと人は言ったと。
また1日、鉄鉢(僧侶の托鉢の鉢)に飯を盛って本堂の仏前に供えるのを、大衆は勤行に及ばず鉄鉢のないことがあった。
誠拙は怒り、一僧に命じて鎮守の祠の前に焚香し、守護の疎いのを告げた。
その日誠拙の宿院の庭籬(まがき)にかの鉢を戴いて、その辺りに血痕が殷殷(いんいん、多いさま)とある。

これは天狗の護神のとがめをうけたと云う。
このことはわが雄香寺の耕道和尚が、その頃侍者にて目撃したとのこと、印宗和尚が語った。
印宗も誠拙に常に随従する弟子である。
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