巻之94 〔9〕 古書にある北村季文の歌

 林が云った。
 近頃北村季文(江戸時代後期の歌人、1778~1850)に逢ったという。ふと反故のような古書物を得て見ていると、家祖の和歌があったと。それで家にも伝わっているかと聞くと、伝わっていないようだ。
もっとも2度の火災に遭って、旧笈(古い書物を入れて背負う箱)の多くが燃えてしまい、ほとんど残らなかったと。
古書物からの和歌を見たままに写してと頼んだ。

    子日(ねのひ)      道春法印
  此御代をためしにひかむ万世と
         ねの日の小松野べになくとも
    霧
  たな引ん山しなければ春霞
         立ぞわづらふむさしのの原
    八重垣と云桜を      林 春斎
  神風や花も咲けり八重垣の
          ほかにもなびく雪の白ゆふ

  無名氏の聞き書きは、宝永(1704~1711)正徳(1711~1716)頃のものと見える。
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