巻之87 〔5〕 山と寺の言葉あそび

ある日嫖客が塗(みち)で幇間に出会い話しかけた。
「寺々を何山何寺と称するが、いかなる故か」。

幇間即答する。
「寺にも限りませんよ」。
客曰く。
「では聞こう」。

ちょうど2人は御倉前を通った。
幇間は左を顧み、「見給え、梅花山(さん、散)ふさ楊寺(じ、枝)」。客は笑った。

それから黒船町を通ったので「ここは?」と問うた。
また顧みて曰く。「大家山(さん)月行寺(じ、事)」。

行き行きながら客がいきなり路の人を指して問うた。
「あれは?」。幇間は「おんば(乳母)山、子をだい事(大事)」。

客は幇間の答えが面白く、喜んだ。
「ならば共に行こう。おぬしの答えは面白い」。

ところが幇間の方は答えの種が尽きていた。
逃げ去ろうと曰く。
「いちもく山(さん)ずゐとく寺(じ)。(いちもくさんは、俗倏急(しゅうきゅう、倏はたちまちの意味)を謂う。ずゐとくじは、即去るを謂う)。

客の僕がその後ろから「旦那さん(山)よいあん寺(じ)(よいあんじは、良き了見である)」と云った。
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