三篇 巻之74 〔23〕 親の着物を取り返そうとしたが

 近郷花又村で隣村の農夫が夜行していたが、両刀士に遇った。
彼が言うには「金を貸せ」。
農夫答える「お金はありません」。
士言う「ならば衣服(キモノ)をよこせ」。
農夫は思った「与えたら害はないだろう」。
裸身になるまでことごとく与えて、家に帰って子細を告げた。

 その子が聞いて、素早く一両輩を連れて1里余りも行ったがその者は見えない。
一旦諦めて空しく思いながら帰ると、両刀士が来るのを見えた。
その親の着物を着ている!即近くにある物で打倒した。
取り返そうとよく見るとその者は死んでいた。
きっと官に訴えられるべきものだが、大喪の御中であり、裁許は如何なるか。
ある人が評して言う。

「父は衣を剥がれたけれども(相手は)死ななかった。子は衣を取り返したけれども人を殺す。仇とみるならば、下手人だが、部外者は御裁許に従うのみだね」。

所謂疫病神を雇って父の敵を討つなど、この類のものである。
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