2022/03/21
巻之45 〔15〕 日置流射法
日置弾正(日置流射術の祖、生没年は不明、1492~1501に活躍した)より伝えられた古法の射術を知る者がいて、わしはこの頃入門して習っている。その法は種々ある中に、くるり矢の射法がある。
このくるりと云うのは、浮禽(うきどり)が水上などにいる所を射る為のやり方である。
その術の大略は、矢の制は矢末に軽い木に小さい鏑(かぶら)をつけて、その先に半月鏃(やじり)を打って、この矢を弓を伏せて放つので、矢は水の上を走って、浮禽の脇腹に中(あた)る。
その術は見ない人は知るのは難しい。
わしは思うに『正治二年百首』の中にある源仲正(平安後期の武将・歌人、生没年は不明)の歌に
わが恋は くるりいながす 川のせに
たちぬる鳥の 跡はかもなし
この歌を思うと、射流すと云うこと射法のようである。
知らぬ人はただただ言葉のみと思うだろう。
またたちぬる鳥と云うのは、跡方も無しと云っていて、わが恋の遂げられない思い入れが面白い。
正治の頃は(2年は頼朝薨年)猟獲の射にはこのような技があった。
が今は浮禽を射るにも、礼場の射法なので、中らぬはずである。
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