巻之四 〈ニ五〉 狐は霊妙なる者

狐は霊妙なる者(この字が当てられています)である。
平戸城下、桜馬場という処の士が屋敷にて狐が火を燃すのを見た。
若い士どもは取囲んで追うと、人々を飛び越えて逃げ去った。
すると物が落ちる音。
これを見ると人骨の様なものがある。
みなが言うには「これは火を燃すものに違いない。
取り置けば、燃すことは出来ない。
持ち帰って屋内においておけば、必ず取りに来るだろう。
その時、生け捕りにしよう」。
示し合わせて、障子を少し開けて(狐がやって来るのを)待っていた。
果して狐は来て、伺い見るようにして、障子が開いた所から面を入れては出したりを度々繰り返した。
人々は今や入ると構えていると、遂に屋内にかけ入った。
待ち受けていた者は、障子を閉めるが閉まらない。
その間に狐は走り出た。
皆は何が起こったのかと、障子の敷居を見ると、細い竹を溝に入れ置いていた。
それ故、障子が動かず。
いつの間にか、枯れ骨も取り返されてしまった。
さきに伺っていた時に、この細竹を入れ置いたに違いない。
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コメント

No title

犬猫キツネでもことばを云わないだけで、野生で生きているものは鋭いようです。罠に掛かった猪にとどめを刺そうと近寄った知人は腹を切り裂かれたこともあったとか🐗

No title

和賀 さん
知人の方はその後回復されたのでしょうか。

No title

原田さん 正確には知人の知り合いの猟師さんですが、その後のことは分かりません。槍を持って山のなかに仕掛けた罠を見回っていた人も、猪に肩にぶつかられて入院していました。
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