2020/09/24
巻之四 〈ニ五〉 狐は霊妙なる者
狐は霊妙なる者(この字が当てられています)である。平戸城下、桜馬場という処の士が屋敷にて狐が火を燃すのを見た。
若い士どもは取囲んで追うと、人々を飛び越えて逃げ去った。
すると物が落ちる音。
これを見ると人骨の様なものがある。
みなが言うには「これは火を燃すものに違いない。
取り置けば、燃すことは出来ない。
持ち帰って屋内においておけば、必ず取りに来るだろう。
その時、生け捕りにしよう」。
示し合わせて、障子を少し開けて(狐がやって来るのを)待っていた。
果して狐は来て、伺い見るようにして、障子が開いた所から面を入れては出したりを度々繰り返した。
人々は今や入ると構えていると、遂に屋内にかけ入った。
待ち受けていた者は、障子を閉めるが閉まらない。
その間に狐は走り出た。
皆は何が起こったのかと、障子の敷居を見ると、細い竹を溝に入れ置いていた。
それ故、障子が動かず。
いつの間にか、枯れ骨も取り返されてしまった。
さきに伺っていた時に、この細竹を入れ置いたに違いない。
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コメント
No title
2021/01/08 16:34 by 和賀 URL 編集
No title
知人の方はその後回復されたのでしょうか。
2021/01/08 16:35 by 原田 URL 編集
No title
2021/01/08 16:36 by 和賀 URL 編集