巻之十 〈ニ六〉 里医と山伏

わしの領内の村々に里医を置いている。この者は農夫の者達を治療する。
多くは祈祷をして癒える様だ。それで山伏に頼んで祷らせる。
一日、病人の家に里医と山伏が来合わせた。山伏の某は「この病人は祈りで験(効果)がある」と云い、医は「薬治で功を得た」と云う。
それから互いに口論してお終いにならない。
その時、医が云った。「その様に祈りで験があると云うならば、お前さん、まずわしを祈り殺すがよかろう。しからば、ここに坐している皆さんがその手際にひれ伏すだろう。わしもまたお前さんに毒薬一服を差し上げよう。さ、この場で飲みたまえ。その気配を待とうではないか」と云うと、流石に山伏は辟易してその坐を抜け出したという。
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