巻之27 〔7〕 10かえりの松花

 過日浴園恩園の中に生じたと、老侯の自筆で『10かえり(10回繰り返す事)の花』と記して、この図を肥州(静山公の御子息)に贈られた。
肥州はわしに転示するべく写した。

 わしは思うに、これは尋常の松の花と異なる。
たまさかにこの花をつくることもあるだろう。因って、『10かえりの花』と古人はも別称して珍しい物として鑑賞していたか。
勅撰集中の歌詞にこれは云っているが、その状態はよくわからない。
『八重垣』に云う。
「10かえりの花は松によめる。松は1000年に1度花咲くといい、また別の説だが、100年に1度、1000年に10たび花咲くことをいう」。
『和訓栞』に載せてある、云々。今もまれまれあるのもである。
その花は紺色で、みどりの先に咲くといえる。
通常の花は年毎に咲く。
松黄ともいえる。
『栞』の言う事もよく観察したとは聞こえない。
するとこの浴恩園のをこそ本物とするのがいいのでは。
その状態は『栞』の云う所とは異なる。
『本草』には松黄のことのみ見られる。

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