2022/06/01
続篇 巻之61 〔11〕 こうあるべきを押し通して
仙台侯が江都をたち、到着のとき、先例で数挺の鉄炮を従えられたのは、都人はみな知るところであった。ある人の話に、かの家老片倉小十郎も、また家格として鉄炮を従え旅行した。
何年のことか、出府のときこうして浅草御門に入ろうとした。
番士は出てきて(これを)遏(とど)めた。
片倉はその先格があると言うが、番士は御番所の諚(おおせ)を云って、通さない。
遂に勤番の人より老中へ伺のうえ、指図済みとして御門を通したとぞ。
その落着までの間、枡形に莚を鋪き、その鉄炮足軽等数人を置いていたと。
なるほど柳橋、和泉橋などもあれど、流石行きがかり上、この所で引き返すことはなくとも、片倉方には不本意に思えたろう。
御番所ではこれを弁(わきまえ)つつ推し止めたのも、互いにこうあるべきということであった。
その頃人々申し合わせたとなったと。
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