2022/07/01
巻之10 〔12〕 言笑自若(どのようなことがあっても、平然としているたとえ)
今の角力、大関に玉垣額之助と云う剛強な男である。1年瘡癤(そうせつ、太ももにできる腫物)を患ったとき、その弟子角力に云った。
ここを膿血を強く押し出してくれないか、そうすれば速やかに癒えるから、と。
だが弟子は強く押すに忍びず、柔らかく押したら、玉垣は怒ってしまった。
この役に立たぬ奴め、わしの申し付けに違わばお前の頭を打ち砕くぞと云うと、弟子共は怖れて、力を極めて膿血を捺(お)し出し、乃疾は癒えたと云う。
蜀(ショク)関羽が臂(ひじ)をきった類の話で、壮士の気度ありと云う
(名将伝に云う。羽嘗て流失を為す所の中、その左臂を貫く。
後瘡は癒えたといい、陰雨に至る毎に、骨嘗て(以前から今まで)疼痛していた。
医曰く。矢鑲鏃(やじり)毒が有った。毒が于骨に入っていた。
骨を刮(けず)って毒を去り、瘡(きず、かさ)を作った(ところに)臂を破って当てて、然るに後此の患を除いたのみ。
羽便臂を伸ばし医に令しこれを劈(さ)いた。
時羽適諸将に請い飲食を相対した。
臂から血流は離れた。
于(ここに)盤(おおざら)器が盈(み)ちた。
而して羽灸を割き、酒を引き、言笑自若)。
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