2022/07/04
巻之53 〔15〕 閏月の中秋を語る
楼上から遠方の花火を見るにつき、わしが主人に云うには、都下におぇる炮術の定めは4月をはじめとして7月を限りとする。大窪にある官の教場斗(ばかり)は8月を限りとする。
また煙戯(はなび)をゆるされるのは、5月をはじめとして8月を終わりとする。
つまり当月は閏(暦と季節のくい違いを調節するために日数または月数をふつうの年より多くすること)だけれども、同月になるので、やはり構えなく煙火はありと、その商人が云った。
また田付氏の与力に問うた。
かの官場は8月迄の定めならば、今秋の閏も8月なので構わないと云える。
答えるに、8月迄の定めならば、閏月はもはや用いる必要はなかろうと。
このように武事と戯観と異なるは如何なることかと、共に云ったことだった。
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