巻之12  〔17〕 赤沢山

 伊豆に往く人が云ったこと。

 世に謂う赤沢山は右は深山で左は絶壁数丈(1丈は3.0303㍍)である。
その間に道があって往来する。
その断岸の下には山の樹は群だち、ここから臨むと樹の梢が緑をいよいよ深くしている。

 そのさきは海であり、蒼波の中に豆のようなものが点々と見えている。
これを審らかにすると蜑(あま)が海底に入って蚫を取り、波の上に頭を出しているのだと云う。

 また往来の道の狭く危うい処に1軒の小茅屋がある。
老夫が麤茶(そちゃ)を煎(に)て行く人に与え、それを暮らしの糧にしていると、聞くと如何にも僻境である。
蛭が小嶋も今は海あせて地続きになって、既に耕して田地になったと云う。

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