2022/10/04
巻之52 [3] 深川八幡境内の力自慢
この前行智が来て話した。今日深川八幡の境内を通ると、仮小屋があったのを取り外していたので、「何故か小屋を解くかや?」と問うた。
「近頃力持ちをする者があって、100貫目の石を頭上にさし上げることを、これも1人じゃなく数人寄って、相撲のように関、関脇、小結とその人々の力量を見せつけていましたがね。諸人も群してこれを観たんですが」。
「これは社に奉納した石でしたし、それをおさめていた小屋でした」。
「またそれを解いた訳は、この程このような群衆の中に、(突如として)年60余とみえる痩せた小おやじがその石の傍に寄って、両手をさしのべ、軽々と目通りに持って、2,3遍上げ下げして向こうに投げました。さてもその場にいた見物人はよく持てるものよと、その場を去りましたよ。力持ちの輩もおののき、この老夫はただ者ではないとその石を上げるのをやめたのです。そして仮屋も取りはずされたのです」
と行智の質問に答えたとのこと。
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