続篇  巻之70  〔17〕 伊達政宗の不凡なりき

 この2月に林氏に逢って疎闊(そかつ、久しく会わなかったこと)を伸べ、種々の物語をする中に、「伊達政宗の豪傑な性質は遍く人が知ることですね」と林は云った。

「御歴代(代々の将軍)に奉仕して、猷廟(家光公のこと)のとき専ら懇遇(こんぐう、心のこもったもてなし)されましてね。
また常に長脇指の大きな鍔(つば)の刀を帯して出仕されましたよ。
折々御酒を給わることがあって、時として酔い倒れて御前に臥すこともありましたが、あるときかの大脇指を御次(の間)に脱ぎ捨て置いたのを、近侍の若者共は言い合わせて、かの怒物(イカモノ、おおげさにこしらえたもの)作りをこのときこそ見なくてはと、窃(ひそか)に抜いて見れば、案外で木身(ボクトウ)だったので、皆々愕然(アキレ)たそうですよ」。

 正宗の胸衿(胸のうち)の並々ならぬこと、この一事でも見えてくる。

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