三篇  巻之59  〔8〕 4月入梅の雨降らず、信仰の浮華群観

 鬼神の霊験と云うのは、半ば人意を以て言うことが多い。
まず当年、その前より日和久しく照り続いたが、4月27日の入梅で、定めし雨は降るだろうと思っていたが、慳雨騒雨は為しがよく降らなかった。
梅も尽くして土用に入った。

 これは固より日が照るべきときに、雨は故より前の如し。
210日〔7月25日〕も荒日(アレビ)だと待っていたら、これも日和よく、8月朔日も同じで、8月4日までの旱魃の色、日数96日〔入梅前はこの数にいれない〕。

 それなのに220日は8月5日で、流石その日よりにしては曇りがちになるし、雨が降って、今日8月13日に至って、日和もあるが、過半は小雨暫雨夜雨朝雨等となって、降り続くこと9日。
それで「その旱魃の色の間を人は『先ごろより浅草寺観音の大堂修営あって、観音の誓いだろうか、修造の間は雨降る事がないんだよ』と人が言う」と云った。
わしは心に、「仏滅にはあるだろうけれど、聖人の御代とは違う」と思っていたが、220日過ぎにしては、また雨が降りつづけるものだが観世音の誓いは表裏あるが如し。
全く人意を以て云いたい。
何如に、何如に、笑うべし、笑うべし。

 ○また云った。

先ごろより大堂修営に就いて、その後への念仏堂とか云う所に遷場があって、詣人も彼処に往くと云うのを聞いた。
本堂参詣の人数は、念仏堂と比べると、過半を減らすと。

 このように人の信仰と云うものは、多くは浮華群観の為で、菩薩請願の故ではなかった。
また仮堂参敬の儕(ともがら、仲間)と雖(いえ)ども、実は好色遊覧の為はのがれじ。
また奈(いかん)。
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