巻之9  〔12〕 大坂御城中夜中の喧噪

 新庄駿河守直規〔常州麻生領主、1万石〕と云う人はわしの縁者で、活達直情な人である。
寛政(1789~1801)中抜きんでて大番頭となった。

その話に、大坂在番に往って御城の中に居ると、深夜など騒騒然と音があった。
松風かと戸を開いて聞けば、そうではなかった。

正しくは人馬喧噪、乱争の声が遠くから聞こえてくるようなものだった。
しばらくして止む。

時々このようなことが続いた。
相伝ってきた。
当時の戦没の人の魂気が遺ったのではないだろうか。

わしは奇聞と思って、その後在番する人に問えば、その事は知らないと云った。

駿州は虚誕を云う人ではない。
心ない輩は何事も気がつかないものらしい。
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