巻之30 〔19〕 人生の幸とは

 わしが少年の時より見聞に自記が存在している。
その冊中に奇草異木の状態を挙げているが紀州に紅花の水仙があると松平熊蔵が語ったと載せている。
たまたまその旧冊を翻して今再び人に問えば、『怡顔斎蘭品』に見えるとの答えであった。

 だから思えば、当初互いに青年であったが、殆ど四十余年を経て両老翁となった。
歳月が流れる様に、嘆いてしまう。
その間に故旧親戚の凋謝(ちょうしゃ、人が死ぬこと)すること枚挙に遑(いとま)あらず。

 この様に四十年前のことを今になって受け答えするは、人生の幸とでも云える。
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