巻之13 〔14〕 鍛冶真了の人となり

 わしの国の鍛冶に土肥真了と云う者がいる。
そのはじめは井上真改の弟子で代々その名を継いでいる。

世の人もこの鍛工のことを知る者は多い。
真了は代々奇人で、近代の真了も奇行をする。

子が無いので養子をとったが、後に気に入らず離縁することにした。
そして親類と話し合い、養子を呼び出して皆で会って、離別の準備をはじめた。

真了はそこで養子に「父子の対面は今日までとする。因って飯を喰わそう。沢山食べるがよい」と自身で盛って与えた。

養子は「かしこましりました」といって真了に与えるままに何椀も食した。
汁やその余も言う程にして辞した。

それを見た真了は「いやいや、気が変わった。その方とは離縁しない。今日よりまた養う」と云って、そこにいた親類にそう伝え、皆を還した。

またこの者は年来勤める役馬廻りと云う格を申し付けた。

その日例によって家老の宅に回勤するとき、長村内蔵助の所で免謁(めんかつ、貴人に会うこと)して「今日の事忝(かたじけな)く存じます。さながら鍛冶に不用の立身でございます」と云って去ったと。

その人となりはこの如く。

人は笑い且つ誉めた。
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