巻之52 〔7〕 家つくり・大工

ある者曰く。ある人のもとに出入りする大工がため息ついて話すことがあった。

吉原が焼け落ちた後(街を再建をするのに)、市中の腕利きの大工どもが争って銘々に建物を建てているという。

昔は、河原者の生業の家は建てないと、それなりに豊かな大工はやらなかった。

かねてより、楼閣に出入りする者がその家を建てていたが、今はかつてそこに出入りしていなかった者までが稼ぎ次第だとばかりに言っている。

利を貪る為ばかりでなく、何屋は誰が造ったと云うのをひろめている。

工人のやることもここまで頽廃したか、と。また劇場の造りも、いま昔は違うという言葉その通りなり。

たまたま、昔かたぎのむかし工人であった老人が云うには、むかしのやり方を守っていたらみる影もないほどに貧しくなってしまう、とのことだった。


家造りは、どの大工はどの界隈と線引きされてお金目当ての競合がなかったものが、お金の為ならばこれまでの暗黙の了解など破っても当然と工人の在り方が崩れたことを嘆いているようです。正論を云っていたら、貧しくなるぞと老工人は嘆いている様です。

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