巻之九 ニ四 駱駝(らくだ)

この三月両国橋を渡ろうとしたら路傍に見世物の看板が出ていた。
駱駝(ラクダ)の容貌をしている。
また板刻にしてその状態を印刷して売っている。曰く。
亜刺比亜(アラビア)国中、墨加(メカ)之産で丈九尺五寸(2.85 ㍍)、長さ一丈五尺(4.5㍍)、足は三つに折れる。
わしが、人を通して質問したことに対し答えた。
「これは去年長崎に渡来した駱駝の風にしていて、本物はやがて御当地にやって来るから」と言っている。
よって、明日人を遣わして見せるのに、作り物ではあるが、その状態を図にして帰った。
  図を見ると恐らく本物を模して作ったものではない。
「漢書」西域伝の師古の註に言う所は背の上の肉鞍は土を封じたように高く盛り上がっている。
俗に牛封じと呼ぶ。
ある者曰く。駝状の馬に似て、頭は羊に似る。長くて程よく垂れた耳、身体は蒼褐黃紫の数色である。
この駝形には肉鞍が高い風でもなく、その形も板刻の言う所と合わない。
前に駝の事を言ったが、それはちゃんと(駱駝の特徴を)表している。


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