巻之5  〔20〕 浴恩老侯の妙解、高野玉川の歌

 六玉川(むたまがわ、歌枕に使用された全国の六ケ所ある玉川)の歌に、高野の玉川は高野大師の歌で、

  忘れても汲(くみ)やしつらん旅人の
           高野の奥の玉川の水

 この川は毒水なのでこのように詠じたと云う。
けれども不審ではないだろうか。哥詞の中毒水のことはなく、また六名勝の中に一つ毒水の入るべきようもない。
その上高野の辺りの人は、常にかの玉川の水を飲む。
だから毒ある水ではないはずだ。

 歌の意は、このような名水を旅人のことゆえ、忘れて常の水と思って汲やしつらんと、その水を賞(ほめ)て詠じたのだと、浴恩老侯の語られた妙解と云うこと。
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