2023/03/22
巻之31 〔9〕 殿中管弦にて北村季文の歌
この春、殿中管弦の時北村季文の歌で、文政六年(1823年)弥生二日、御とのの内に御遊びがあった。上達部、殿上人、その道の御方々、またかしそのともがらまで召し集えられて、大変めずらしいことである。
その日の御事を伝え承って詠む。
呂 安名尊
皆人のことにぞけふのたうとさを
よそに聞さへたのしかりけり
鳥 破
おりしもあれ春も弥生の花ざかり
まだ見ぬ鳥の声ぞ聞ゆる
席 田(むしろだ)
めづらしきけふの御あへのむしろ田は
おりかへしてもあかじとぞ思ふ
鳥 急 残楽のこころを
春の日のそらにまぎれぬものの音の
のどかに御代はしづまりにけり
胡飲酒
世は春のかぜの調に呉竹の
この国人も酔をすすめて
律 伊勢海
いせの海清きなぎさのなのりその
なのりも高し雲の上人
万歳楽
昔きく南のやまの山びこも
けふのひびきにいかでまさらむ
五常楽
糸竹のこゑのうちにもおのづから
人の道ある世はしられけり
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