巻之96 〔12〕 丹羽氏四品にて轅に乗る 

かの御大礼のとき、丹羽候〔奥州二本松〕も四品にて轅(ながえ、馬車、牛車の前方に長く出た、平行な二本の棒)に乗って出た。
これは侯の先代の中、轅を新しく造って、三四年も釜処の塵汚する場において殊に煤(すす)けさせ、官家の大礼があるのに臨んで乗り出した。

 果たして役向きの人が見咎めて、「先祖小松宰相相乗り用のものをそのまま用いておりまして、このように古びたのでございます」と答えて、事が済んだと。
それより引き続き例用し、当の丹羽氏もこの度轅になったとぞ。

 また藤堂候〔勢州阿能津〕は侍従のことゆえ、家臣等この度の轅乗りを勿論議されたので、老臣はこういった。
「太祖高虎公が轅を用いられたことはございません。そうであれば子孫の今に到って創用すべきではなく、駕籠にて御登城下さい」。

丹羽氏の祖小松宰相にはなるほど轅にも乗られかった。
そうでなくとも子産放魚の類、欺くにも道を似てせば、官家の咎も無き理になってしまう。

 また藤堂の謙遜は論ずるまでもない。
弘前侯に於いては、祖先に由縁すべきでない、また遜順の義を知らぬことになる。

 其尤招悔者宜哉夫。
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