巻之12 〔9〕 家康公を観た人相見

 徳廟(家康公)が葛西の辺りで御放鷹のとき、ある農家に立ち寄った。
その家の農はかねて人相をよく観るとて近郷に称された者であった。

徳廟はそのとき御鷹場にて御足は泥にまみれ汚れ給いしゆえ、洗われたくなって、従い奉る者が、
「そこの人や、水を参らせてくれ」と云えば、
農は即ち出て来て御傍により、御足に水を濯ぎながら、仰いで御顔を見奉り、
「おまえは扨々上なき御人相だな」と云った。

大いに笑わせ玉い、「かれは上手な人相見だな。
褒めてやれ」と云って出て行かれた。

 左右へ褒めてやれと上意あったので、乃ち御賞美の物を下さる事になったと云う。
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