巻之八十七 〈ニ〉 カラスの反哺(はんぽ)

前に領内安満岳の番(つがい)のカラスのことを記した。
後『寛政東行筆記』(静山作)にある変わった話題を挙げてみる。
このカラスのつがいの生来を知るものはいない。
山の住持憲明がいう。
カラスの反哺(はんぽ、烏に反哺の孝あり。親に養育の恩を返すこと)の項では、神様の祠の前の石の鳥居の辺りに集まって、鳴き合う。
その声は別れを惜しむかの様である、と記してある。
与えられる餌は神仏の供物の残り物である。
時に鬼に薦める物(柊や鰯か?)を混ぜると、喰わずに去っていく。
山を登る人がカラスを呼び出すのに、小石を拾って叩くと必ず飛んできて樹間で鳴いている。
また『市井雑談集』をよると、紀州高野奥の院に御供の余を与えている一双のカラスがいる。
もし一山に凶事があれば来ない。
寛永元年(スペイン船来航禁止か?)このカラスが来ないことがあった。
その時、来迎院の良昌法印が詠じた。
蔭ふかきねぐらにかへれ山鴉(やまがらす)
       声をしるべの朝な夕ばみ
この歌が詠じられると、カラスが飛び来て、餌を喰っていく。
なかなか来ない時に、再びこの歌を詠じるとしばらくしてやって来る。
追記 この歌のことが少しわからない。
どうして(カラスが)感応するのだろう
関連記事
スポンサーサイト



コメント

非公開コメント

プロフィール

百合の若

Author:百合の若
FC2ブログへようこそ!

検索(全文検索)

記事に含まれる文字を検索します。

最新の記事(全記事表示付き)

訪問者数

(2020.11.25~)

ジャンルランキング

[ジャンルランキング]
学問・文化・芸術
1328位
ジャンルランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
歴史
181位
サブジャンルランキングを見る>>

QRコード

QR