三篇  巻之8  〔12〕 御本丸御月見のとき用いられた御島台

 
 1日(9月)一斎に話すことが有って物語る中に、上野の宮の御許に参じたとき、御本丸御月見のときに用いられた御島台とて、宮の御傍に在したものを見せていただいたが、その台見就(みつ)き一間にも過ぎるので、裏に人物あって凡そ50余りとも云うベく、居室草木みな具わっている。
 
 人形の長(た)け1寸5分ばかり、家屋もそれに協う。

 而して屋中にある器の大略、文台の大きさは1寸ばかりになり、文房の具はみなギヤマンである。

 その小さなるものを知っておきたい。

  また時計があって、高さ1寸3,4分、自ら鳴ることはないが、その体は本物と異ならない。

 他の器も推して知っておきたい。松の樹の根末は囲いで2尺許(ばかり)、蟠窟から垂れた枝は居室を覆っている。
 
 能く視ると、朶々(えだえだ)みな鼈甲(べっこう)の女櫛を比(なら)べ重ねて、梢葉の状をなしている。
 
 宮の仰せには、僧のこの様な物を用いる所はないと。

 実にただ翫覧に提供する耳(のみ)である。

 王維(中国盛唐の詩人画家)の画賦に、丈山尺樹寸馬豆人と云える、想いは合わさった。
関連記事
スポンサーサイト



コメント

非公開コメント

プロフィール

百合の若

Author:百合の若
FC2ブログへようこそ!

検索(全文検索)

記事に含まれる文字を検索します。

最新の記事(全記事表示付き)

訪問者数

(2020.11.25~)

ジャンルランキング

[ジャンルランキング]
学問・文化・芸術
667位
ジャンルランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
歴史
131位
サブジャンルランキングを見る>>

QRコード

QR