2023/11/15
三篇 巻之70 〔18〕金森氏宅焼失と左右の者と言論す
世に久しく謂う、陥話(おとしばなし)と云う如く、真実もまたある。
近頃のことにて、わしの東近の野宅に、旗下の小普請衆が住んでいたが〔金森氏〕、ある日、晡時(申の刻、午後4時頃)の前に、火を出してその家屋は焼失した。
わしの左右に侍(はべ)る者達は驚き騒ぎ、種々の言論に及んだ。
1人曰く。「この頃付け火の災いが所々にあります。甚だしい災難です」。
また1人曰く。「この度の災いは、自火なれば憂えるに足らずでしょう」。
これを聞いて、わし曰く。「自火付け火と比すれば、尚悪しだ」。
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