三篇  巻之70  〔18〕金森氏宅焼失と左右の者と言論す


 世に久しく謂う、陥話(おとしばなし)と云う如く、真実もまたある。

 近頃のことにて、わしの東近の野宅に、旗下の小普請衆が住んでいたが〔金森氏〕、ある日、晡時(申の刻、午後4時頃)の前に、火を出してその家屋は焼失した。

 わしの左右に侍(はべ)る者達は驚き騒ぎ、種々の言論に及んだ。

 1人曰く。「この頃付け火の災いが所々にあります。甚だしい災難です」。

 また1人曰く。「この度の災いは、自火なれば憂えるに足らずでしょう」。

これを聞いて、わし曰く。「自火付け火と比すれば、尚悪しだ」。
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