続 巻之十七 〈一〉 掛け軸(笑い話)

ある人が、某の家を訪ねた。
床上に掛け軸が掛かっていた。
そこには文字が数行あった。
「何と書いてあるのでしょうか。この数字はいかなるものでございますか」。
亭主が答える「讃(さん)!」。
この男、また別の処を訪ねた。
ここにも床頭に掛け軸があった。
男は賞して「讃は面白うございますね」と云った。
亭主は「これは詩(し)であるぞよ」と答えた。
別な日にこの男、別の処を訪ねた。
ここには絵はなく、横物即ち巻き物に文字ばかり。
男は「詩(し)は面白うございます」と賞した。
ここの亭主は「ある禅師の語(ご)である」と答えた。
男ははや心得て、次の家を訪ね、そこではこう云った。
「語(ご)とは面白いものですなあ」亭主は「語にはあらず。録(ろく)なり」と答えた。
客は、そこを出て「おれは、三(讃)、四(詩)、五(語)、六(録)と転んでいくなあ。あ、次はきっと、七だな」と独り言を云った。
また日を改めてある豪商を訪ねた。
素晴らしく美観の自慢の庭園だった。
家に上がり床上には、掛け軸があって、画上には数字が描かれていた。
客は「御掛け軸には七(質)とあるのでしょうか」と云った。
亭主の顔にはみるみる怒る色が現れた。
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