2020/05/18
巻之九十四 一四 若い娘を後妻に迎えて長生きした医者の話し
蕉堂(安田蕉堂か)が話してくれた。長崎のある処に1人の医者がいた。
年60の時に妻を失った。
子弟、親戚は妾を持つように薦めて、老後のたすけにすればよいではないかと云った。
だが、(医者は)これをよしとしなかった。
妻でなければ、始終会えない、と。
だから、またあちこち周り、相応の年かさの婦人を探した。
(医者は)またよしとしなかった。
市中にて名主を勤める者の娘で、年は17になるのを家に置こうとしている。
子弟、親戚は誰もよしとしなかった。
だが、医者が云うには、ワシは必ず長生きするのだ。
今は17だが、晩節の介抱を得られるから、あえてその少女と添うのだ、と。
近隣の者たちはみな驚いた。
医者は老いてますます健やかで、116歳で亡くなったのは寿なさまである。
その時、あの17歳だった娘は73歳で(夫の)看病をしたが、ほどなく老疾病で亡くなった。
いかにも珍しいことである。
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