巻之九十四 一四 若い娘を後妻に迎えて長生きした医者の話し

蕉堂(安田蕉堂か)が話してくれた。長崎のある処に1人の医者がいた。

60の時に妻を失った。

子弟、親戚は妾を持つように薦めて、老後のたすけにすればよいではないかと云った。

だが、(医者は)これをよしとしなかった。

妻でなければ、始終会えない、と。

だから、またあちこち周り、相応の年かさの婦人を探した。

(医者は)またよしとしなかった。

市中にて名主を勤める者の娘で、年は17になるのを家に置こうとしている。

子弟、親戚は誰もよしとしなかった。

だが、医者が云うには、ワシは必ず長生きするのだ。

今は17だが、晩節の介抱を得られるから、あえてその少女と添うのだ、と。

近隣の者たちはみな驚いた。

医者は老いてますます健やかで、116歳で亡くなったのは寿なさまである。

その時、あの17歳だった娘は73歳で(夫の)看病をしたが、ほどなく老疾病で亡くなった。

いかにも珍しいことである。

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