続 巻之十七 〈一〉 文盲の父とその娘(笑い話)

一女がいた。年は十歳。
父は文盲だが、娘の事によけいな口を出す。
娘は(父が)人前ですることを宜しくない気持ちでいたが。
ある時人が来てまた口を出してこう云った。
「それがしの小娘は手習いに精を出しています」が、吹聴した。
客が「御清書はありますか」と云うと娘の清書を持ってきて、開いて逆さまに出した。
娘は「それは逆さよ」と云ったが、「御客の方から見やすいようにしたのだ」と云う。
客も心得て、「読みものもなさるのか」と聞いた。
「随分いたしました。百人首も僧正遍昭までおぼえています」と云う。
「おやおや、僧正遍昭どころではなく、その先まで覚えておられるのでしょう」と云ったのを聞いた娘、「なら、十方世界まで覚えなきゃ」と云ったと。
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