続 巻之十七 〈一〉 王子の稲荷の狐(お話し)

ある士が、王子の稲荷に参詣に出かけた。
山中に至ると、穴の中に狐が伏せて寝ている。
士が呼ぶ「権助、権助」。
狐は驚いて目を覚まし、思う。
「お侍さんは、オイラの事を権助と見るらめ」。
化けはしなかった。狐のまま穴を出た。
士もまた知らん顔をして率いてゆく。
帰り道、山下の海老屋に入った。
(狐は)下僕になり酒肴を注文した。酒の席にズラーと並べられた。
酒もたけなわになったところで、士は厠に行き、そこを去った。
下僕狐は残された。
家人が怪しみ、聞いた「酒肴のお代は?払ってくれるよな?」。
下僕は「お、おいら、わかんないや!」と云った。
主人は怒り、その狐を嘲った。
下僕ははじめて悟り、すぐさま走って山に入った。
満店はあっけに取られてしまった。
士は戻って窺い見た。
店には入らずに、餅の店に行き、饅頭を買って、再び狐穴に行った。
小狐がいて臥せっていた。
士は狐を呼んだ。
小狐はまた驚いて起き上がった。
士が云った。「おまえ、驚くなよ。饅頭をやるから」。
小狐は喜んだ!喜んだ!
それから牝狐の所に行き、このことを告げた。
牝狐が云った。
「食べないの。おそらくは馬糞だからね」。
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