続 巻之十七 〈一〉 笛屋の新見世(世俗の落咄)

わしが123の頃、湯島の女坂下に笛屋の新見世ができた。

キジ笛、ハト笛は云うに及ばず、カッコウ、ホオジロ、メジロの類、大小の鳥の声、虫はキリギリス、ヒグラシ、マツムシなど、その声音を笛に写せないことはない。

珍奇な仕事なり。

そのころ、ある者達が寄り合い、この笛屋の噺をして、見たか、見てないかなどと言っている。そのとき1人、早く知っている事を云おうと咳込んで、あの笛屋にないものはないとのこと。

花のウグイス、水のカエルはもちろん、ムカデ笛、ゲジ笛まであると。

辻番所に草木でかきを構えている。

往来の1少年が、その中に小便をしていた。

番人が見咎め叱りつけ、なんてことをするんだと云えば、少年は、ここに(他の人の)小便の跡があるじゃないかと云っている。

だから、ワシもここにしたんじゃと。

番人が云うには、それは前に1人小便をして、叱った跡なんじゃ、と。

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