2020/08/20
続編 巻之一 〈三〉 人の至誠
林子曰く。人の至誠と云うものは何にも通徹するものである。佐渡の地の役に、田中従太郎と云うわしの門人である。
質実な資質で、その道を崇のこころとして限りなく深い。
佐州に聖廟を建てたいと年久しく願っていたが、時を得て、今の奉行泉本正助に就て政府に達した。
今、ここにそれを落成した。
いささかも官費を煩わさなかった。
国民従太郎やな心服して、富める者は金銀木石を出し、貧しき者は力役を供出した。
その国にはこえるほどの経営が成れた。佐州があって以来なき盛り挙がり、人の誠
はかくまで 洞徹するものかと感じいった。
図は下部写真。佐州教諭所図。
ちなみに奉行も広恵倉を建て、その利金を以て、永く聖廟に学舎修繕費用、かつ書冊を購入して師儒を招くまでの費用を用意する法を設け、政府に達して久しくその事を廃止させない。
不思議になるほどの事である。
こんな小吏さへコレほどの功業を成した。
今の世は堂々とした侯国で、文武教場さえ整わない所があるのは何たることか。

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