巻之八十九 〈七〉 四足鶏

わしの浅草邸に行く途中に、花鳥屋と云う店がある。
看板を掲げ、四足鶏を描いている。わしは思う。銭を募る為に作ったのだと。
一日人をよこして見てもらった。
帰って云うには「実に四足が生えてました。信濃国が産地だと云っておりました。鶏のニ脚は尋常の様ですが。ニ脚は前足の後ろ、臀部の左右尾毛の下にありました」。
ただただ脚の後ろ、斜めにあり、指は開かない。
また地を踏むことは出来ない。
その観てきた者の図を後に載せた(写真)。
『類聚国史』に、天武天皇の五年四月、倭。
国添下郡に元気な鶏を貢す。
その冠は海石榴の華に似たり、とある。これも異形である。
時として、様々に変化して産まれることもあるか。
『本草啓蒙』に載るところ、筑前で「キクチョウ」と呼ぶ鶏、脚は六指であると書いてある。
これも一種であるが。片輪ではなく、天然の物である。

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