巻之四十五 〈ニ八〉 投ぜる賽銭

前に両大師遷坐のことを載せた。
またこの二月晦日にも行って見たが、この日もまた見る者は以下の様にあれば、よく見るのも無駄ではない。
けれども、前月のことを思ったら、人後よりその行装ははかり知れない。
そんな中、大師の輿は人の上よりよく見えたのだが、通行の時四方より投ぜる賽銭、輿の屋根に積まれること甚だしい。
ところが、輿かき僧のしわざであるが、輿を振り傾けて傾けてかの賽銭を落としつつ急いで行っていた。
人中なので、輿かきの様子は見えないが、思うに賽銭を積めば、輿が重くなるので、輿かきの負担が増えるのであろう。
また前に示した、輿に乗せてあると見える紫天蓋は後から、さして行く。
これも銭を天蓋に積むと、竿を動かして落としながらいっていた。
わしにも紙に包まず、一孔銭を投げる者がいて、噴沫の様に空中に飛散した。
定めとしてこれらも後には倍化して献ずるだろう。
その儀をはかり、帰路にその路を通ったら、一銭も地に残る物はなかった。
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