巻之一 〈30〉 老女衆の願い

老女衆の願いを老職衆に回した上様
徳廟(今は亡き上様、どの御代かわからぬが)は御政務に御心を尽くされておられると聞く中にこの様な事があった。
大奥の老女の縁で入った人が上様に内願を申し上げた。
「善い様に聞くつもりだが、女の事だから時には迫って申し上げる時もあるだろう。
その時には、この様な我らの身分の者も自由にならぬ事もあるものだ。
老職の意見も聞かなければ」と上様は申される。
「さらば老職に聞かれてもかまいません」と申し上げる。
「少しもかわまないか」と上様が言われる。
そこでまた「もし老職共が異議を申しますならば、如何なさいますか」と申し上げている。
「その時は、老職に聞く」とのこと。
その後、老職が召出され、上様が「この度、老女どもが何々の事を内願いたした。
だから、この様に答えて置いた。けれども、件(くだん)の事はそうであってはならない。
その方ども、厳正に説得するのだ。承知はいたさぬ」と仰せである。
果たして老女衆から件の云々に及んだ時に、老職の答えは、「それはそうあってはならない」という。
老女衆が押し返して申すには「内々の言上に及びまして、上様にもその様なお考えであられましたら、老職へ聞きとうございます」と言っている。
老職衆が答えるには、「たとえ上様のお考えでなくとも、この事はそうであってはならない」と強いて申している。
とうとう老女衆も「それでは仕方がない。
またまたこの事を言い上ぐったりすると、老職が申す旨は重き事と言われる」と言われた。
遂にその事は蒸し返される事はなかった。

※老女達が上様に内願したかった事は何なんでしょうね。
そうしてまで、聞き入れたくない将軍と老職の考えは。。。
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コメント

No title

これには手を焼きました。何かスッキリしないのです。
元々白黒つけたい気性なので、老女達が言いたい事がわからなくて、イライラしました。
投稿するのやめようかと思いましたが、まだ私の精神年齢が今回の文章を理解するのには至らないのかなと思い、あえてアップしました。

No title

確かにわかりにくいですね。でも静山公が書き残したかった気持ちもなんとなく理解できます。「上様は、御政務に御心を尽くされておられると聞く中にこの様な事があった」という事ですね。上様は断る時に老職にその悪者になってもらうと言うことでしょうかね。何か今の政治の世界でもありそうですね。そこに男尊女卑が加わる・・・

No title

やはりここは、ハッキリとは書けない。書かない。オブラートに包んで、その中を推察してもらう。イライラ仕方ないですよね。よく書いたなと思います。

No title

原田 さん
良い投稿はですよ🍏
わたしは灰色のこころなので、このような話は好みますね🍊☘️

No title

木村 さん
ありがとうございます。夫から「世の中は、限りなく白に近くて限りなく黒に近い灰色で成り立っているとぞ」といわれてるのですが。まだわかりきった大人になりたくない気持ちが働きます。追求したいです。

No title

和賀 さん
ありがとうございます。静山公の立場で眺める視線を持ちたいです。

No title

原田 さん ご主人の言葉も禅問答のようですね。70にして惑わずという事でもあるのですがこれもいつまでたってもわからない。

No title

それは 想像するに…
男社会で全体を見ている指揮者とそれを支える人達から見て、その老女達の意見は、そこだけ見ればそうであっても、それはこれこれこうで良くないので却下(・・)と
そんなことでしょうか🌌🐝ね☘️

No title

和賀さん
内容が知りないですね。頑なに却下するのはどうして?

No title

それは内容は分からないですが想像するに、老女たち側には良くても、違う立場の側には良くないとか(・・)
想像です🥝🌌
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