続篇 巻之九十三 〈10〉 叱る事が出来ない奏者番(城中の武家の礼式を管理する番役)

九鬼長州(初代守隆、1573〜1632)は、柳間(大広間席)の表大名だったが、今は入って奏者番である。
わしが、在職中の旧知だったので、時にはかの邸を尋ねて会っていた。

ある日の談話中に、かの天徳寺(話の流れかんら山口県防府市の曹洞宗天徳寺か)披露のことを言いだすと、長州は云った。
「それは何某で(既に)執り行われましたよ。
総じて奏者番は、不念不調法ですので指扣(さしひかえるを転じて、非難する)を申し上げることは誰とても無いわけないですよ。
つまり脇坂淡州(安ただ〈草冠に重〉)は寛政の頃(寛政2年、1790)より奏者番を勤め、一度引退復職しましたか復職しました。
まあ今に至るまで一度もいい損じ(武家の無礼な礼式を叱る)はないのです」と。

これもまた人の及ばない所であり、稀なことだと思う。


※気が回らない事を叱らない。
不調法を叱るのが奏者番の仕事だろうに。目くじらたてるより、落語になりそうですねー。
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コメント

No title

代々世襲が続いているようなことでは やがて滅びるのは歴史の通りなので… ときがくればその構造は壊れることのようです🐝
そうすると なにかと口うるさい人も役に立っているのかもと ふと🍏

No title

和賀 さん
大事ですね。叱るのを避ける風潮って。、。でも信頼関係がないと出来ない、でしょうかね。

No title

原田さんて(・・)
そこですね🍊信頼をさせるおとなが…要る🍏 
現実はそうはいかないので 修行でしょうか🐝

No title

和賀 さん
これから老境に入ろうかという世代は、若者の言うことを聞くのも大切かなあと、足を痛めて思いました。若者に負けんと、鼻息の荒い年寄に手こずりました。免許返納を受け入れてもらう事が大変な家でした。もう鬼籍に入った人ですが。家の若者に心配かけない為に色々考えています。

No title

原田さん はははって わたしは まだまだ云うことを聞かないほうに入っていますね😁
それは…シャンとした信念(残念かも)と理由が有ると  信じ込(混)んでいたのに… 間違いを証明されたら だんまりか ごめんなさい(・・) と云うのです☘️
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