巻之ニ十一 〈27〉 他国から連れ帰った鳥、二種

わしは毎年肥筑間を行き来する。
それで佐嘉(さが)から神崎(かんざき)の間に珍しい鳥がいる。
これより外の地ではまず見られない。
そのくちばしは尖り、頭は小さく、尾も首も長く共に黒く、翼と背に白色がある。
鳩よりは余程大きく、鴉(カラス)より小さい。
全体は鴉に似ている。
俗にいう肥前ガラスである。
これは他国にいないゆえの名である。
或いはかちガラスという。
これは群行と鳴き声によって名付けられた。

昔佐嘉の領主が朝鮮で捕獲して領地に放ち、後自然に増えていった。
これは土俗の伝聞である。
ある人曰く。「これは漢土の鵲である。我が邦国でカササギと名付けたのは、黒白斑(まだら)になっているので、からすさぎと云う」と聞いた。

百人一首家持卿の歌に鵲のことを云う講説の秘訓になるという〈『校舎余録』〉。
またわしの領地にも多久島(現在、度島)と云う二里に足らない島の城地の近くに、これに異種の雉がいる。
土人は、高麗雉と呼ぶ。
これも祖先宗静公〈式部卿法印、松浦鎮信、松浦26代、天文18.1549〜慶長19.1614〉が朝鮮の帰りにかの島に放たれたものと云う。
因んでその様に呼ぶ。
この雉も領分の中、余所にはなく、唯かの島にのみいる。
また他に於いても稀に飼うものを見ると、基本を聞くと、みなかの島産と伝息したものであるという。
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