巻之三十 〈21〉 燕の巣、さまざまな形

燕の巣にはさまざまにある。
江都(えど)は鴨居または梁などに、状差しの様な形に泥土で作る。
また小板を棚にして置いておくと、そこに巣食う。
諸国でもよく聞く話だ。
その内、珍しいものは、備後の鞆の浦で見た。
そこに大きな神祠がある。
その軒の裏、垂木或いははつか梁等にところどころ巣がある。
その形は壺の様である。
入口は向かいの方または上の方にあるものもある。
その状態はジガバチの巣に類する。
垂木にある者(本文ママ)は、その形は乳房の様である。
下方に口がある。最珍しい。
また筑前の民家にあったものは、方板五寸計りになるが、四隅に縄をつけて屋中に吊って置くもの。
その上に巣食う形は、龜(かめ)の様である。
また藁づとの小さな六七寸になるものを吊って設ける。
これにも中に巣食う。
この様な土風によって、別の異形になるのも珍しい。
また聞く。備中吉備津宮の燕は、巣も壺の様に、祠の軒裏に多いという。
また同国足守辺(足守藩。岡山市北区足守、陣屋町がある)の人が云った。
燕にヒウゴと云う一種があると。
それならばかの異形のヒウゴの巣であるか〈『余録』〉。
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コメント

No title

イワツバメの巣はたしかに地蜂の巣を大きくしたような形ですからこれを見たのかもしれませんね。
西日本では越冬するツバメもいるようなので同じツバメでも生活の仕方も変化が出てくるのでしょう。
自然を観察して記録した古文書を科学的に再評価する研究が盛んになっていますので夜話もそういう視点でみるのも良いですね。
益鳥を迎えるイエという民俗学的な見方もできますし、とにかく身近な生き物です。

No title

岩佐 さん
コメントたまわりありがとうございます。
古文書の再評価ですね。
静山公は疑問があれば、図鑑や辞書を引いては、検討し色々な思いを夜話に書かれました。
それでも結論が出ないこともあられた様です。

No title

なるほどね〜
燕の巣も色々なんですね。

No title

中橋 さぁ
そうですね〜。環境に合わせて柔軟に巣作りするんでしょうね

No title

最近話題になったのはオーロラを京都と江戸で観察したという記録が実証できたことです。
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