巻之四十九 〈9〉 名馬いけ月、する墨、わか白馬、異説と是非

頼朝卿の時のいけ月とする墨と云う名馬は人が知る通りである。
以前にも話題にした事だが(第3巻)、する墨は駿河国安倍郡の産だという。
それなのに領国壱岐の石田郡黒崎郷に墨山という所がある。
この地にする墨の母馬の墓があるのだ。
『壱岐続風土記』にあることだが。
墨山の辺りに橋があるという。長さ3間半。竜化橋がと云う。
橋の西田中に塚がある。俗する墨の母馬の塚と云う。
里に伝わるには、昔から頼朝の時、ここに牝馬を畜(か)う者がいた。牧に〈今牧野という地名〉置いていたが、牡はいなかったが孕んで、くろ(黒に麗)馬(ごま)を生んだ。
これは竜と交わって生まれた。だから母馬を竜化と名づく。
子馬は長ずるに駿となった。
これを国司に告げた。
国司は頼朝に上(たてまつ)った。
頼朝は美称してする墨と名付けた。

これによれば、する墨は壱岐で産まれだけど、『源平盛衰記』の東国兵馬揃えの条には、折節秘蔵の御馬三疋である。
いけ月、する墨、わか白毛と申す。

陸奥国三戸立の馬は、秀衡の子に元能冠者が参らせたと見える。
すると奥の出になる。
いずれが是なるのか判らない。
また林子が云うには、この名駿は、対馬国で産まれたとかの国の人は云い伝えている。
『津島記事』に書いてあると。

さすれば区々(まちまち)の異説があると聞こえてくる。

※下記写真は対州馬

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