巻之ニ十 〈22〉 備州の山猫談

故中山備州(備前備後守 中山氏)の領邑常州の大田にあった。
備州が一年邑に行った時、鳥銃を持って邑中を猟の為歩いていた。

一朝、山間の経路を上っていると向こうから男が一人息を切らせて走って来る。

近づいて「何ごとぞ」と尋ねた。
男は「山猫が後から追ってくる」と云いながら走り去った。
「他に誰かと一緒か」と聞くと「いないよ」と答えた。

その内、はや犬より大きな猫ー毛色が紫の牙を露(あら)わにして追って来る。
折しも鳥銃には玉が込めてあったので、立ち向かい一打に撃ち留めた。

余りに奇しき物なので、皮を剥いで袖なし羽織に製作して、備州滞在中は着ていた。

後に出入りの医者に与えた事であることに遭遇した。
前より肩を越して、腰の辺りより尾になり、坐すれば席を曳くほどの大きさだったと。

以上谷文晁の話である。
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コメント

No title

この話しの最後に谷文晁が出てくので、谷文晁と松浦静山(清)とのつながりを知りたく思いました。静山は15歳くらいで家督を相続していますが、27歳頃の平戸藩主の時代に京都で皆川淇園が創設した学問所の弘道館に入門していますね。学問熱心で感心しています。その時代にこれらの学問をする人がいろいろな蔵書を広く持っていて交流していたようです。上田秋成、松浦静山、谷文晁、頼春水などがいたとなっていました。地域をまたいで学問や知識を広く共有していたと考えると興味が尽きません。
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