続篇 巻之四十一 〈2〉 文晁と桜を語る

三月の半ば、文晁に逢った。

わしは問うた。「かつて芳野の桜を観たことがあるだろうか」。

晁曰く「観たことあります」とそれから桜について云々と語った。
一目、千本の処に参り、観ることがありました(これはかつて聞いたことがあった。この千本の桜とは臨下(ミクダシ)の谷にあって、数樹が限りなきばかりに並んでいるのを云う。また聞く。数本みな同じ種の桜ならば、開花もみな一斉に咲き、それより前も後がないとのこと)。

前の坂を陟(のぼ)る時、村の童共が集まり出てきて、桜の笛を「買い給え」と告げる。
だから登山の輩はこれを買う。

bunchou.jpg

その物は写真を参照のこと(これを人は巴籠と呼ぶ。そのわけは籠の編み終わりが竹が長く残り、自らその形が巴の字の様になるから)。

山頭より籠のまま谷底に投下すると、その苗は根を生じて樹となるそうな。珍しいことではないか。

わしはまた聞いた。
「この山の主蔵王権現は、桜を愛されるけれども、他種を嫌われておられ、時として人は異種の桜を植えているが、忽ち枯れて生育しないのだろうか」。

だから山いっぱい一種の花にして、盛開をまことに観賞すべきだろう。
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