2021/02/21
巻之四十四 〈5〉 11月の彗星(ほうきぼし)
林話す。十一月より東方に彗星が現れた。
暁七時(どき、午前4時頃)過ぎに見た者が多い。
わしは「渴睡漢(かっすいかん)だから未だ見てない」と笑った。
だからこれより起き出て見ると、陰雲に覆われたか、月光に消されたか、一夜も観ることがない。
極月(12月)廿五日の夜になり、初更(午後7〜9時)のころ初めて見た。
けれども光芒ことに微かなので、長さ三尺ばかりと思う。
だから司天館を知る人に問うたら、答えに
彗星は去月下旬より暁東方に出た。天市垣中、帝坐星の南に見えて、その後日々運行して北の方に旋(めぐ)り、北斗星の北に見えた。
ただし、初昏五半時頃より、北東の方に見えて、暁には天頂の北に運(めぐ)る。
もっとも祥災(禍福)等の事は、陰陽家の説なので、妄誕信じ難しとのこと。
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