巻之四十四 〈5〉 11月の彗星(ほうきぼし)

林話す。
十一月より東方に彗星が現れた。
暁七時(どき、午前4時頃)過ぎに見た者が多い。
わしは「渴睡漢(かっすいかん)だから未だ見てない」と笑った。

だからこれより起き出て見ると、陰雲に覆われたか、月光に消されたか、一夜も観ることがない。
極月(12月)廿五日の夜になり、初更(午後7〜9時)のころ初めて見た。

けれども光芒ことに微かなので、長さ三尺ばかりと思う。

だから司天館を知る人に問うたら、答えに
彗星は去月下旬より暁東方に出た。天市垣中、帝坐星の南に見えて、その後日々運行して北の方に旋(めぐ)り、北斗星の北に見えた。

ただし、初昏五半時頃より、北東の方に見えて、暁には天頂の北に運(めぐ)る。

もっとも祥災(禍福)等の事は、陰陽家の説なので、妄誕信じ難しとのこと。

関連記事
スポンサーサイト



コメント

非公開コメント

プロフィール

百合の若

Author:百合の若
FC2ブログへようこそ!

検索(全文検索)

記事に含まれる文字を検索します。

最新の記事(全記事表示付き)

訪問者数

(2020.11.25~)

ジャンルランキング

[ジャンルランキング]
学問・文化・芸術
1143位
ジャンルランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
歴史
157位
サブジャンルランキングを見る>>

QRコード

QR