巻之六十九 〈10〉 トオハチゴモン(十八五文)

近来市中に一種の薬売りがいて、道を行きながら「十八五文」と呼ぶ。
またしばらくして「奇妙」と呼ぶ。

これは丸薬の数を十八を銭五文に換えて、その郊験が有ると自画自賛して「奇妙」という。
卑賤の輩の多くがこれを求めて服用すると、果たして功あり。

故に今都下で盛んに流行している。
また近頃七月九日、沼津候に特賜があって退出した。

その老臣の隠居土方祐因〈俗名は縫殿助。
今剃髪している〉を召して、今日格別の拝領物があった。

どんな物か当ててみようと問うた。

祐因は頭を傾けて良久(しば)し思案して答えた。
「定めし十に八は御紋ならん」と。

候は拍手して曰く「奇妙」。
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