続篇 巻之五十六 〈12〉 御厨里村の賢夫婦

わが領内御厨里村の農夫六三郎、年四十ばかり。
その妻年三十五。
夫婦は年来睦まじくしており、農業に精を出していた。

農に打ち込む時は貢税に心を委ね、秋は昼夜怠らなかった。
ある時、妻が収穫の疲れに居眠りしたのを夫が抱いて水辺に投げ入れた。
妻はその行いを謝り、「元の様にやらせて下さい」と願った。

六三郎もまた疲れて同じく居眠りをしたところ、妻はこれを見て夫を水辺に引きずり連れて行こうとした。
六三郎は驚いて自分がしたことを思い知り、妻に謝った。

それからというもの、夫婦で年貢を全うしようとますます農業に精を出した。
これが村人みなに伝わり、夫婦を見習う様になったという。

またこれ等の至誠には夫婦自然と裕福になり、田畑も多く実る様になって、後に富になったと云う。

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