三篇 巻之九 〈7〉 鰻と梅の食べ合わせに思う

ある日の人の話からー。

浅草花戸川に車屋と云う者がいた。
一日鰻の蒲焼きを食し梅干しを食べたら、ことに腹痛で煩悶した。
ようやく一日を経て癒えた。
それから年が経ち、再び鰻を食べたが、忽ち藤井を起こし、これから後うな喜を食べる事が出来なくなってしまった。

また曰く。
この二物を食い合わす者はみな同じ目に遭っていると。
上聞いたままに記録している。
これ等のこと、『本綱』鰻魚梅の条、白梅〈ウメボシ〉の下にも見られるか。
但し『飲膳摘要潤』〈蘭山著〉の中、梅鰻と同じく食うべからず大毒であるとあって、白梅の事はなかった。
梅とは生梅実である。

また鰻の条に、梅酢、諸の酢の物、同じく食うべからず、大毒であると見られる。
これにも白梅の事はない。
諺の毒の試み、後の人にも勧めるのも如何なるものか。

また『啓蒙』に云う。
鰻の酢〈スシ〉は宇治川の名産である。
方言で宇治丸と見える。
これ等は忌むことはないだろうか。

また長崎の俗で鰻を食するには蒲焼きにして必ず辛子酸を施し食べる。
ただ蒲焼きのみにして食べる事はない〈長崎の人が語る〉。

またわしの荘の中の口ににいる僕だが、先年生梅の塩漬けと鰻を食べ食傷した。
だから本国上総に帰った。
その途中、死んだという。
この食傷は人々が見ているが、死んだのは必定食物の為か、審議せずと。

また文恵と呼ぶ茶所坊主がこの食禁を知らない。
鰻と梅干しを食して重い腹痛が起り、やがて下痢して癒えた。
ことに苦悶にならなかったと。
前人はその後この食忌を知りながら、梅干しの上に鰻を食したが、この時は少しも障りはなかったと。
そうすると一定ならずと聞こえる。

追加して云う。
ある者は穴籠〈アナゴ、鰻の最小なるもの〉の蒲焼きを食べて、生梅の塩漬けをも食べて、大腹痛して、ほとんど絶え入るばかりになったと。
これ等は前事と等しくない。

すると梅の生干しと、その人の腹の力によるのか。
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